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「地球へ…」第23話 [「地球へ…」]

地球へ… 3 (Gファンタジーコミックススーパー)

地球へ… 3 (Gファンタジーコミックススーパー)

  • 作者: 竹宮 惠子
  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2007/04/06
  • メディア: コミック
 
「あのミュウの泣きそうな切ない想い…。
必死に人間を守ろうとした奴の想いが伝わってきて…僕は怖くて、ただあそこから逃げる事しか出来なかった…。
グランパ、僕はミュウを…同族を殺した…。この手で…。
それでも僕等は戦う…。ジョミーを信じて…!」

視聴者共々、登場人物も前話のマツカの死を引きずっての始まりのようです…

地球軍最前線に次々と出現するメギド。それも一機じゃ有りません。まだ使う気ですか、あの最終兵器
そんなに使ったら最終兵器っていう値打ち(そんなものいらない)下がるじゃないですか?って、この状況マジで最終状況ですね。
…そうか、ナスカで使う方が最終兵器としての使い方が問題が有るんですね。
なんたって虐殺ですもんね、グレイブさん(何故、そこで同意を求める?)。

自室で物思いにふけるキース。ここでマツカ思い出してなかったら、ほんとに鬼です。
そこに入るミュウからの通信。長であるジョミー自らの…。
「キース・アニアン、聞こえるか?我々はここまで来た。こちらには話し合う用意が有る。
互いに交渉のテーブルに着く時期に来たのではないか?キース!」

キースは迷いながらグランドマザーに報告します。
「判断はお前に任せる。交渉するも良し。焼き払うも良し。」
グランドマザーが判断を人間に任せるという有り得ない状況に、驚くキース。
「一つだけ教えていただきたい事が有ります。
SD体制の管理出産において、何故ミュウ因子を取り除かなかったのですか?」

「今になって何故知りたい?」
「今だからです。」
「…いいだろう。」
マザーとの会話が終わった後、ふらついて出てくるキース。…何があったんですか。
誰も部屋に入ってくるなと命じて、椅子に倒れこむように座った後、思わず出る一言。
「コーヒーを頼む。マツカ。」
言ってからはっとするキース。良かった。鬼じゃなかったよ、彼。
目の前に浮かぶマツカの幻影…。
(キース。人間とミュウは本当に相容れないのでしょうか?)
主人公のジョミーより先に問題定義してしまいましたよ、マツカ。
それ今回のテーマですから。
(人間は強欲で愚かな生き物だ。
絶対的な強制力の元でしか、自らの欲望を抑えられない。
だからSD体制が布かれたのだ。
だが、その強制環境の中でさえ多くの者が、まだ自らを律する事が出来ずにいる。
…今、強制の箍が外れれば、人類は宇宙規模に広がった悪性の癌細胞と化す。
私は人の理性が生み出した最後の砦、SD体制を守り抜かなければならない。
その為にはミュウの主張は断じて受け入れられないのだ、マツカ…。)
ミュウ側には地球リヴォーンのユグドラシルで会談を開く様伝えて、メギドの準備を進める人類側。
ミュウにメギドの存在をギリギリまで知らせない様な位置に配置しながら…。

一方地球へ最後のワープ準備を進めるミュウ側。ジョミーがミュウ達に呼びかけます。
「シャングリラの諸君。そしてミュウの皆…。人類側はついに交渉に応じた。
交渉に赴く為にシャングリラは最後のワープを行う。
我々はついに地球をこの眼で確かめられる距離に到達する。…長い道程だった。
多くの戦いが有った…。そして多くの犠牲を払った…。しかし我々はここまで来た。」

(ジョミー。強い意志…。)
一人離れた場所で聞くトォニィ。
結局彼はまだ子供、ジョミーという指標があってこその存在なのでしょう。
「地球で言葉通り、交渉のテーブルが待っているのか、それとも最後の抵抗が有るのか…。何が有るか僕にも判らない。
それでも跳ぼう!地球へ!」
(ブルー。貴方が命がけで焦がれた星…、地球へ私達は向かいます。
あなたのえらんだジョミーがとうとうここまで皆を導いてくれました…)
ブルーへと呼びかけるフィシスの頬を流れる涙。
「全艦!ワープ!」
月の側までワープするシャングリラとその艦隊。
そして月の後ろから姿を現す醜く変色した赤茶げた地球…。

30年前というとまだ「酸性雨」とか「温暖化」とかは問題になっていなかったと思います。
確かその頃一番問題だったのは「大気汚染」「公害」…。
原作でジョミーが初めて目にする地球はまだ水が多く青かった。人が地表に住めないという理由も、氷河期に戻ったような気候のせいでした。
でも30年経って現実の世の中が抱える問題は、その頃とは比べ物にならないほど大きくなっています。
それを表すのがこの青くない地球なのでしょう。

ナスカ以来久しぶりに感情を露わにし、絶叫するジョミー。
長い事、ソルジャーという立場の為に抑えてきた彼自身の心からの叫び…。
「何だ!何だ、あの星は!!あれが僕達の約束の地なのか!?
ブルーが命がけで焦がれた地球なのか!?青く美しい星は何処に有る!!?」
「我らはこんな物の為に犠牲を払ったってきたのか…?」
多くのミュウの目に涙が伝います。
「人類とはこれほどまでに愚かな生き物なのか!?
自らを育んだ星をこんな姿に…!」

久しぶりに取り乱した姿を見せるジョミーに、心配そうな目を向けるハーレイ。
しかし、その呼びかけに振り向いたジョミーは、ソルジャーとしての顔に戻っていました。
本当に強くなったね、ジョミー。
「だが行こう、地球へ!過去は変えられなくても未来は築けるはずだ。
僕等と人類の間に横たわるSD体制を打破する為に!!」

しかしそのシャングリラの前にがメギドが6機も立ちふさがります。
やっぱり罠だったのかと色めき発つミュウ達。
「あの数のメギドは防ぎきれない!!」
「私は何を迷っている…?」
メギド
発射残り1カウントで停止ボタンを押すキース…(お約束だ(苦笑))。
メギドのエネルギーが収まった事に、困惑する両陣営。そこに入るキースの通信。
「ジョミー・マーキス・シン、聞いているか?
人類統合機構国家主席キース・アニアンだ。話し合いのテーブルを用意した。地球へ降りてきたまえ。」
罠だと止める仲間たちを制し、ジョミーは地球行きを決めます。
「彼らの真意を確かめる為にも行かなければならない。」
長老達以外にトォニィ、フィシスも同行を希望し、地球行きメンバーが決定します。
「シド、君に船を任せる。もしもの時は残っている仲間の安全だけを考えろ。
行こう。地球へ…!」
原作で船を任せるのはツェーレンでしたが、変わってますね。
彼らナスカ・チルドレンには最終話で何か役割が有るのでしょうか?
「ブルー、見えますか?」

地球へと赴いたミュウ一行は明朝に会議という事で部屋に案内されます。
夜、一人でキースの部屋に訪れるフィシス。
廊下に警備がいなかった事を問うフィシスに、キースはお前が来ると思ってたといいます。
「あの人の…ブルーの最期を教えて下さい。貴方が殺めたのですか?」
それには答えず、そこに銃があるから敵をとる気があるなら使うと良いというキース。
震えながらも銃を構えるフィシス。
「一つ聞いて良いか?」
人の質問に答えず、人には問うんですか、キース…。
「お前達は何故、指導者自ら前線へ出て戦う?
戦略的に考えても合理的とは言えない。」

「大切な人を…仲間を…子供たちを守るために決まっています!」
「指揮を取るものが倒れては意味が有るまい。
組織が機能しなくなる。」

「私達は組織の為に生きているのではありません!!
人には必ず死が訪れます。その時に次の世代に残せるものは、自らの知識と、想いと、わずかな希望…。
そして残された者は先人の想いを指標として、その先を目指すのです!」
「その思想が我々人類にも有れば、この星もこんな風にはならなかったのかも知れんな…。」
「何故…。何故か貴方への憎しみがわかない。ブルーを殺めた人なのに…。
忘れないで。あの人の最期を…。」
部屋を出て行くフィシス。その後姿を窓ガラス越しに見ながら、キースは心の中でつぶやきます。
(私はお前の遺伝子データを元に、作られていたのだ。)
やっぱり親子か、この二人…。そうだよね。50年近く差が有れば、別のサンプルを元に新しい遺伝し作ることもあるよね…。納得です。

やっと話し合いのテーブルに付いた両陣営。
コンピュータの決めたことではなく、自分の意思で考えてくれというミュウ側。
コンピュータの導きなしでは何も決められない人類側。
その中で行われるテレパシーによるトップ会談(笑)。キースにそのつもりは有りませんが(苦笑)。
(宇宙は広い。そんなにもSD体制が人類に大切ならば、遠くの星に我々は去ってもいい。生まれてくるミュウの存在を認め、我らの元へ送り届けてくれるなら。)
(それは出来ない。)
(何故だ?何故出来ない?)
「それは我らの尊厳に関わるからだ!」
「どうなさいました?閣下?」
マツカの死等で心に隙が出来ていたキース。
簡単にジョミーが心への進入してくるのを許してしまったようです。
「何故、君達は我々を理解しようとしない?」
「笑わせるな!ミュウ同士とて理解し合えている訳では有るまい!」
「そうかもしれない。だが、手を取り合うことは出来る。」
「わざわざ理想を聞かせる為に、遥々ここまで来たのか?」
「遠い星で我々は別の生き方をしても良かったんだ。
だが…青い地球を想う時、胸に渦巻く焼け付くようなこの渇望も、おそらくマザーが植えつけた意識…。だとしたらマザーは…。」
「良いだろう。グランドマザーに会わせてやる。」
いつまでたっても平行線の会談に妥協(?)案を出すキース。
マザー自らジョミーを呼び出す原作とは違ってますね。了解するジョミー。
罠だとまたも騒ぎ出す同行のミュウ達に、ジョミーは諭します。
「行って見なければ何もつかめない。」
「機械の思考は読めないんだ。どれだけ危険か判っているくせにどうして!
人間の為だか、地球の為だか知らないが、あんたがこれ以上くだらない事に命をかけるのは我慢できない!」
「トォニィ…」
「行こう。キース。」
(止めなくてはいけないのに、身体が動かない!ジョミー!)

エレベータで降りていくとそこには同じ黄色の服を着た子供たちがいます。
たちまち取り囲まれるジョミーたち。
「カナリヤ」…実際の世界でも毒の有無を調べるのに使われる鳥の名前をつけられた子供たち。
「彼らが大地で長年行き抜き、次世代を育てられたら、浄化完了と言う訳か。」
責める様な目をキースに向けるジョミー。無視するキース。
先に進もうとする彼らに一人の子供がジョミーのマントを引っ張ります。
「待って。また来てね。」
(なんて澄んだ瞳…。)
優しく微笑み「あぁ。」と返事するジョミー。そうです。彼は子供に人気が有りました。
彼自身も子供が好きでした。
同じく話しかけられ、戸惑ったように無視するキースをむしろ微笑ましそうに見つめるジョミー。
こういう分野でキースがジョミーに適う訳有りません。ジョミーに余裕が感じられます。

再びエレベータで降下するジョミーとキース。
今度は付いてくる第三者がいないので二人の会話が始まります。
「あれで地球が再生できると本当に信じているのか?」
「信じているからやっている。」
「SD体制やマザーシステムが…?」
「そうだ。」
「機械はただプログラムに忠実なだけ。
君はそれを判っていながらマザーを信じるという…。」
「人間は愚かだ。
ミュウにソルジャーが必要なように、人類にも導く為のシステムが必要なのだ。」
(ナスカの悲劇を引き起こした男だというのに…。何故か怒りを感じない…。)
フィシスと同じ様な感想を持つジョミー。
何故ならジョミーとキースは合わせ鏡に映った姿だからだと思います。
彼らは違う立場を持った敵対する陣営の中で、それを率いる長という立場に立たなければならなかった。
それはある意味、孤独を伴う地位(キースはマツカ亡き後、本当の意味でも孤独ですが)。
本当の気持ちを押し殺し、状況に応じて非情にもならざるを得ない。
それだからこそ、お互いが本質的に判っているのだと思います。
ブルーとキースの間にそれが無いのは、ブルーがミュウの起源だから。
ジョミーもキースもシステムが出来上がってしまってから生まれ、自分の意思ではなく、今の位置に立たされたから…。そんな事を思いました。
「トォニィが早まった事をした。」
「マツカの事か?」
「ミュウと人間も手が取り合えると、君自身が示しているのに…。」
「あいつは所詮、手駒の一つだ。」
「なら何故、君の心は涙で濡れている?」

マツカがいないので、今日のキースの代弁者は宿敵である筈のジョミーです。
「サムが死んだよ…。」
「…!サム…。」
二人の共通の親友サム。彼が言うように皆が友達になれたら、今の悲劇は無い。
そう思うと悲しくなります。(今作品自体が無くなりますけど。(苦笑))

エレベータを降りきった地で、ジョミーは初めてグランドマザーを目にします。
それはそそり立つ機械的な女神像のような…。
(何だ?この威圧感は!?)

次回はとうとう最終話。話の行く末が心配です。予告でレティシア、サイオンオーラ出してましたね。やはり彼女にも重要な役割がありそうです。
某雑誌で最終話でジョミーの隠された秘密が明かされるとありました…。気になります…。


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コメント 7

冬萌まる▼・ェ・▼

こんにちわ^^原作とは違って、まだ人間が住めない地球。
しかも「カナリア」という子供の存在に、どこまで人間
(もしくはグランドマザー?)は非情になれるんだろうと
思いました。でも、もうラストなんですね~。
なんだかあっという間ですTT
いろいろ驚かされる展開の連続でしたので、
またラストも驚かされるのでしょうか?
来週はタオル片手に観ようと思います。
by 冬萌まる▼・ェ・▼ (2007-09-16 14:34) 

ミカリン

ふゆもえさん、こんにちは!

カナリアの子供たちは本当にショッキングな設定です。
ある意味捉えてあるミュウ以上に残酷な状況に置かれながら、それを自覚していない子供たち…。やはり非情なのは人間かも…。ジョミーの言うように機械はプログラムに忠実なだけですから…。

終わってしまうと思うと寂しいですね。某雑誌の全プレ、応募してしまいました(苦笑)。わたしの「地球へ…」はまだまだ続きそうです。
by ミカリン (2007-09-16 17:55) 

藤次郎

こちらへのコメントがずいぶん久しぶりになってしまいました。いつもコメント下さるのに、すみません。

30年前だったら、まだ地球は再生できると思われていたんでしょう。まだ間に合うと。でも今では、このままでは本当に…ジョミー達が見た地球のようになってしまうという危機感を肌で感じられるほどです。

>ジョミーとキースは合わせ鏡に映った姿
OPの、手を取り合えない二人を思い出しました。お互いが何故そういう言動を取るのか、分かってはいても立場が違うから歩み寄れないんですね。ええいもう、立場なんて捨ててしまえ!(まてまて)

カナリアの子供達に優しく微笑みかけるジョミーを見て、ああ、この子は本当はこういう子なんだって、改めて思えてうれしかったです。
by 藤次郎 (2007-09-20 00:43) 

ミカリン

藤次郎さん、いらっしゃいませ。
いえいえ、コメントなんてそんな気にしなくていいですよ。

今のOPを初めて見た時、手を取り合えない二人の姿に、一番大切な部分が詰まっているような気がしました。歩み寄りたくても歩み寄れない人間とミュウ。
SD体制がない状態でこの二人が生まれてきていたら、分かり合えたのでしょうか?ジョミーの本質が明るくてやんちゃなので、違うタイプで返って上手くいきそうな気がします。そんな二人が戦わなければいけないのは悲しいですね。

カナリアの子は悲しい存在ですが、その子達とジョミーのふれあいを描いたこのシーンは大好きです。「また来てね」「あぁ」という約束が果たせるといいなぁ、と思っています。

温暖化対策に一番熱心だったカナダが、対策は無理だと言い出したというようなニュースを数日前に聞きました。あの青くない地球は物語の中だけの話ではないと思います。そう考えて、あの地球の見えてくるシーンを見ていると、とても怖くなってきますね。
地球は太陽の寿命が尽き、共に星自身が命を終えるその頃まで青く美しいままでいてほしい…。そう思います。
by ミカリン (2007-09-20 01:15) 

たっこ

はじめましてー。
地球へ・・・大好きっ子です。
「某雑誌で最終話でジョミーの隠された秘密が明かされる・・・」
と書いてありますが、
某雑誌って何でしょう?? 気になりました。
差し支えなければ教えて下さいませ。
by たっこ (2007-09-20 10:43) 

ミカリン

たっこさん、はじめまして。
パッシュというアニメ雑誌の9月号です。
入手は難しいかもしれませんね。バックナンバーで手に入るかもしれませんが…。
私も立ち読みだったので、ハッキリとは覚えてないのですが、ミュウの中でジョミーが特別な理由が明らかになるというようなかかれ方だったと思います。
by ミカリン (2007-09-20 14:21) 

たっこ

PUSH9月号ですねー。立ち読みしちゃいました(^^)
でもでも、地球へのことがあまり適切に書かれていなかったような気がします。(ちょっと残念・・・)
そして、明日はいよいよ最終回!!
ジョミーの特別な理由 ON AIRでチェックできるといいな。
ミカリンさん 返信 ありがとうございました♪
by たっこ (2007-09-21 21:15) 

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