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映画「象の背中」 [映画・TV・ドラマ]

象の背中 スタンダード・エディション

象の背中 スタンダード・エディション

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD

今日、映画館に久しぶりに行き、「象の背中」を観に行ってきました。

病院の検査で、末期の肺がんが見つかる役所公司演じる主人公「藤山幸弘」。
宣告された余命はわずか半年…。
仕事は48歳で大手建設会社の部長として、妻の美和子(今井美樹)、大学生の長男の俊介(塩谷瞬)、高校生の長女はるか(南沢奈央)との幸せな家庭。
数少ない欠点は仕事が忙しい星で、余り家庭サービスが出来なかった事と、仕事上知り合った愛人の青木悦子(井川遥)との関係だけれど、相手がさばさばした職業を持つキャリアウーマンの為、それが家庭を脅かす事は無く、それ以外は子供たちもまともに育ち、まさに理想の家族に見える一家を襲った悲劇…。
手の施しようも無く、治療しても助かる見込みは無いと知った幸弘は延命治療を拒み、動ける最後まで今まで通り生活しようとします。
「生きていたいんだ、死ぬまでは…。」

この小説が発表された当初、感動したという意見と、身勝手だと言う意見に別れたと言います。
家族が治療を望むのは当然ですが、癌治療の苦しさや大変さを聞く限り、治る可能性の有るならともかく、手の施しようの無い彼が選んだ決断は、尊重されるべきだと思います。

くだらない事で仲たがいをして会わなくなった友達、初恋の同級生、仕事上追い詰め傷つけてしまった相手、そして長い事会わなかった兄弟…、彼らを訪ね言葉を交わし、自らの「今」を見つめる幸弘。
自分が逝ってしまった後の家族の事に思いをめぐらし、限られた時間で出来うる限りの事をしようとする彼の姿に、唯一打ち明けられている息子は黙って力を貸し、
「苦しむ期間は、なるべく短い方が良い。」
と、倒れるまで真実をつげられなかった妻や娘も何かを感じ取り、家族は一つになっていきます。

そして限界を悟った時、幸弘は残った大プロジェクトの続きを信頼する部下に任し、会社を去ってホスピスに移ります。
美しい海沿いに立てられたホスピス
。一見平和そうに見えるそこの住人達は、皆余命いくばくも無い人とその家族…。
今日話した人が、数日後にはもういない…そんな世界。

でも家族に囲まれて穏やかに過ごす幸弘は本当に、全てを悟ったように幸せそうで、見ていて帰って悲しかったです。
兄が見舞いに現れた時、やっと搾り出す内心。
残していく家族には見せられない姿…。
「死ぬのが怖い!死にたくないよ!!」

でも、彼は最後まで彼は幸せそうに逝きました。
「お母さんとはるかのこと頼んだぞ」
「分かったよ、父さん!絶対俺が守るから!!」
息子がカッコいいんですよ。いや、ビジュアルのことだけじゃなくて!
自分は長男だから、男だからとお父さんを必死に支えて、健気なんです。

夫婦が約束してそれぞれに書いた手紙には、くしくも同じ様な事が綴られていました。
「もう一度生まれ変わっても君にプロポーズする。」
「もう一度無まれ変わったとしたら、私にプロポーズしてくれますか…?」

最後のCHEMISTRYの主題歌が、また泣けるんですよね。
なんたって原作者が作詞してるんだから、主人公の心情が綴られている歌詞なんです。
『「しあわせだった?」なんて聞かないでくれ、愛しき人。 
腕に抱きしめて僕が聞きたいよ。君がしあわせだったか?
終わらない道は きっとない 涙 拭いて 背中見届けて…。
僕は一人きり この川を 今 渡る』

主人公の最後の独白が有ります。
『象は何故、死を覚悟した時、群れから離れ、死に場所を探すたびに出るのだろうか?
俺には出来ない。ひとり孤独のまま姿を消すことは出来そうにない。
愛する者たちに見送られたい。』

私は…主人公のような最期を迎えることが出来るのだろうか?
いつかこの命が終わる時、全てが満足とは言えなくても、精一杯生きたと言える人生が送れているだろうか…?

私には自信が有りません。
たとえ天寿を全うした老衰による死で有ろうと、今の自分ではそう言える最後を向かえることは出来ません。
これから自分が何をしていくべきか…そんなことを考えさせられる映画でした。
今度、原作も読もうと思います。…またグチャグチャに泣くんだろうなぁ。


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