ミュージカル「李香蘭」 [劇団四季]
大分前に購入しておきながら、今になって、DVDを鑑賞しました。
「殺せ!殺せ!裏切り者を!!
憎い漢奸(中国を裏切った中国人)!日本の手先!」
いつもながらこの始まり方は衝撃的です。
これほど鮮烈な始まり方をする舞台は、他に類を見ません。
それだけに、この戦争が残した物の凄まじさを感じることができます。
何度観ても、戦争によって運命をもてあそばれる、香蘭の人生には涙があふれます。
それは皮肉な態度で、この舞台を進行する川島芳子も同様で…。
南方戦線に出征していく少年・青年兵士たちもまたしかり…。
いえ、一般市民全てが犠牲者であることは、間違いありません。
戦争は、どちらの国の民衆にも多大な被害をもたらします。精神的な分も含めて…。
「裁いて 罪があるなら
私を育てた大地よ
輝く二つの国を 愛し続けたことを」
母国である日本を愛し、祖国である中国を愛した彼女。
結局、そのことを関東軍に利用されてしまったけれど、それは彼女自身の罪でしょうか?
結局、日本人であることが証明され、漢奸罪は適用できないと無罪の判決を受ける、香蘭。
それはとても嬉しいことだけれども、それで全てが終わったわけではない…。
きっと山口淑子さん、ご本人は戦争で死んで行った全ての人たちの命を、背負って生きているのでしょう。
大変、重い人生だと思います。
願わくば、彼女のような思いをする人間が、一人でもいなくなるよう…。
戦争がこの世から消えて無くなるよう、強く願います。
最後にごめんなさい。
野村玲子さん、ちょっとお声が辛そうでした。
本調子じゃなかったんでしょうか?心配です。
私もはじめて見た時に、「殺せ!殺せ!」という始まりに衝撃を受けました。
登場人物が皆、国や家族や仲間を思いながら、
それぞれの信じる道を懸命に進んでいっても
誰も幸せになれない戦争というものが、
本当に酷いものだと思いました。
最後に裁判長が歌いかける、
「徳を以って怨みに報いよう」
ということばがとても印象に残ったミュージカルでした。
今の時代にも世界中に歌いかけたいフレーズです。
野村さん、心配ですね。
私が観た時もかなりお辛そうでした。
by ぴこにゃ (2009-02-23 22:17)
>ぴこにゃさん
本当に衝撃的な、始まり方ですよね。
戦争の惨さを、現わしているようです。
皆が不幸になるのが分かっていて、何故人間は戦争を起こしてしまうのでしょうか?
最後の裁判長の歌は、心に残りますね。
「憎しみを憎しみで返すなら、争いは未来永劫続くだろう。」
「徳を以って怨みに報いよう。」
皆がこの心を持って、生きていける日が来ることを、心から信じたいです。
by ミカリン (2009-02-24 00:55)