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「流転の王妃の昭和史」 [読書]

流転の王妃の昭和史 (新朝文庫)

流転の王妃の昭和史 (新朝文庫)

  • 作者: 愛新覚羅 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1992/03
  • メディア: 文庫
流転の王妃 最後の皇弟 DVD-BOX

流転の王妃 最後の皇弟 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: GPミュージアムソフト
  • メディア: DVD
「昭和の日」という事で、昭和天皇に繋がる血を持った一人の女性の一生を取り扱った作品を一つ。


嵯峨公爵家の長女として生まれ、ラストエンペラーの弟を夫としたことで、波乱万丈の人生を送ることになった、“愛新覚羅 浩”さん。
その結婚は政略結婚によるお見合いではあったけれど、彼らが本当に愛し合っていた夫婦で有った事は、様々な逸話が証明しています。

昔、映画になり、平成になってからもTVドラマになったことからご存知の方も多いでしょう。

夫となった“愛新覚羅 溥傑”さんは大変穏やかな人柄だったようで、日本に留学していたことから日本語も堪能。結婚も彼が日本にいるうちに整い、初めのうちは大変穏やかで幸せな結婚生活だったというようです。
それが、生活の場を、当時「満州」と言った中国北東部に移し、戦争が始まってから彼らの生活は激変していきます。
元々満州そのものが日本が中国に作り上げた傀儡政権だったわけですから、平和に暮らせるわけはなく、建国13年で崩壊する国で、中国人からは日本人だと憎まれ、日本軍からは中国に嫁にいった女だと蔑まれた彼女の苦悩は、想像するに余りあります。

そして終戦を迎え、夫は捕らえられ、彼女は2年の流転生活を余儀なくされ、やっと日本に帰って来てしばらく後に不幸な事件で長女を失い、夫とは16年もの間、二つの国に引き離され…。
全ては日本の軍部と戦争による被害者の一人である彼女の心情が、切々と綴られています。

恵まれた家に生まれたはずの彼女を襲う数々の悲劇…。いえ、あの時代は幸福であった人のほうが少なかったはず…。

16年ぶりに再会した夫と変わらぬ愛を育み、その後は穏やかに暮らした彼女には、時代が違うとはいえ頭が下がる想いです。
私だったら、流転の生活に耐えられず、良くても体を壊してその後の人生を狂わせたでしょう。

子供の頃に去った昭和と言う時代。その前半にこんなに悲しい人生を生きた人たちがいたということに、思いをはせると涙が出てきます。その人たちはなんと強い心を持った人たちだったことでしょう。
飽食の時代に育った私からは、想像もし難い時代。

今日は「昭和の日」。そんな時代が有った事を忘れるな…。そういう意味でも、この日は名前を変えたのかも知れません



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